滋賀生まれも強みにコロナ禍の近江牛ブランド - 中日新聞

牧場で生まれ、育てている牛にえさを与える山形さん＝近江八幡市大中町で

　新型コロナウイルスの感染拡大で、外食やインバウンド需要が激減し、影響を受けるブランド和牛「近江牛」の関係者たち。この春には、月齢３０カ月前後で出荷される肥育牛の取引価格が、子牛（素牛）導入時の価格を下回るケースもあった。こうした中、繁殖用雌牛から子牛を誕生させ、その牛を育て上げる「繁殖肥育一貫経営」が注目されている。

　「繁殖牛を導入しても、最初の四年近くはお金になりません」。近江八幡市大中町で、一九九二年から繁殖肥育一貫経営に取り組む山形満さん（５１）は、こう説明する。

　繁殖牛に種を付ける。受胎から出産までは二百八十日ほど。出産から三十カ月前後、牧場で飼育する。その間、えさ代や人件費もかかる。流産や死産といったリスクもある。不受胎のケースも珍しくない。

　繁殖牛四十五頭を含む百三十〜百四十頭を飼育する山形さん。「最初に繁殖牛五頭を導入したとき、おやじに怒られました」と振り返る。だが、繁殖から手掛けた子牛が成長すると、高値で売れた。リスクが伴う反面、素牛を購入する必要はなく、コストが抑制できた。素牛の相場に左右されない足腰の強い経営基盤を築...

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