新型コロナウイルスのパンデミックは、世界規模でビジネスを行う企業やブランドのデジタルへの変革を加速させた。その取り組み方はECの強化だけにとどまらず、デザインやもの作りからセールス、マーケティング、コミュニケーション、物流まで多岐にわたる。また、リアルとの融合や相乗効果を目指した施策も多い。ここでは、6社の最近の事例をもとに、デジタル活用やテクノロジー導入のヒントを探る。(この記事はWWDジャパン2020年8月24日号からの抜粋です)
モンクレール
顧客体験向上を目指し、
ECサイトを社内運営に
モンクレール(MONCLER)は、3年以内にオンラインでの売り上げシェア倍増を目指す。その実現に向け、これまでユークス ネッタポルテ グループ(YOOX NET-A-PORTER GROUP以下、YNAP)が手掛けてきたECサイトを自社運営に移行。10月に北米での運営を始め、2021年中に完全に切り替える計画だ。さらに同年中には、エンターテインメントの世界から着想を得た一体型オムニチャネルECプラットフォームをローンチする。レモ・ルッフィーニ (Remo Ruffini)会長兼最高経営責任者(CEO)は、「核となるのは、それぞれの顧客に合わせた体験だ。モンクレールでは、コレクションからイベントまで全てのプロジェクトが“デジタルファースト”であるべき。そのため、顧客との最初のタッチポイントとなるデジタルプラットフォームに完全にフィットし、ほかの全てのチャネルに広がっていくようにしなければいけない。この取り組みには、組織的、文化的、技術的に急速な進化が欠かせない」と話す。
また新たなアプローチでは、ローカルの文化と調和し、タイムリーに実行可能な施策も強化。例えば、“7 モンクレール フラグメント ヒロシ・フジワラ(“7 MONCLER FRAGMENT HIROSHI FUJIWARA)”の20-21年秋冬コレクションが発売された7月初めには、日本、中国、ヨーロッパを巻き込んだデジタル×フィジカルのハイブリッドな戦略を展開。ウェイボーや渋谷のビルボードなどさまざまなメディアを駆使するとともに、中国内のショップを巡る特製トラックを走らせたり、「マッチズファッション ドットコム」と組んでロンドンと東京を結んだDJイベントをインスタグラムのIGTVで開いたりと多彩な取り組みを行った。特にウェイボーで配信したアイテム紹介は1日で視聴数3200万を達成。今後も顧客とのエンゲージメントやコミュニティーを築くため、ライブコマースやライブ配信といった施策の探求を続ける。
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