自転車に乗って車に対して「あおり運転」をしたとして、埼玉県警は26日にも同県桶川市の男性容疑者(33)=別の暴行容疑で逮捕=を道路交通法違反(妨害運転)容疑で再逮捕する方針を固めた。捜査関係者への取材で判明した。他の車の走行を妨げるあおり運転を「妨害運転罪」として新たに規定した改正道路交通法が6月に施行されてから、自転車によるあおり運転で逮捕されるのは全国初とみられる。
捜査関係者によると、男性は10月5日午後2時ごろ、桶川市の市道を自転車で走行中、40代女性が運転する車に対して妨害運転をして交通の危険を生じさせた疑いがある。周辺を走行していた車のドライブレコーダーの映像などから、妨害運転を特定した。男性は同日、こうした危険な走行を目撃して注意した70代男性の胸ぐらをつかんだとして、暴行容疑で逮捕されていた。
この男性は昨年にも同県上尾市で自転車に乗って車の前に飛び出し、他人に危害を及ぼすような運転をしたとして道交法違反(安全運転義務違反)などで起訴され、有罪判決を受けている。同様の行為は地元住民らに度々目撃されており、その様子を捉えたドライブレコーダーがテレビで放映され、「桶川のひょっこり男」などと呼ばれていた。【中川友希、成澤隼人】
ふらふら蛇行運転、危険性、悪質性考慮か
6月に施行された改正道交法は、他の車両の通行を妨害する目的で、交通の危険を生じさせる恐れのある一定の違反行為をすることを新たに「妨害運転」と規定した。違反例として、通行区分違反▽急ブレーキ▽車間距離不保持――など10類型を定め、このうち高速道路の行為などを除く7類型は、軽車両に当たる自転車も違反の対象としている。罰則は3年以下の懲役または50万円以下の罰金で、「著しい交通の危険」を生じさせた場合は5年以下の懲役または100万円以下の罰金となる。
桶川市内では、市内の男性(67)が今回逮捕される男性とみられる人物が自転車で危険な運転をする様子を目撃し、ドライブレコーダーにも状況が収められていた。目撃したこの男性によると、10月5日、JR桶川駅付近を車で走行中、片側1車線の道路で中央線付近を蛇行しながら走る自転車に遭遇した。自転車はふらふらと走りながら、対向車線から車が来ると、飛び出すように対向車線側に急ハンドルを切る行為を繰り返していたという。
こうした走行は車の運転手が急ブレーキを踏んだり、急な進路変更をしたりして重大な事故につながる恐れがある。県警は危険性や悪質性を考慮して逮捕に踏み切るとみられる。目撃した男性は「事故になり歩行者が巻き込まれていたらと思うと恐ろしい」と不安を口にしている。
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