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こんなにある、日本未上陸の輸入車ブランド その3…「チャイニーズ・イタリアン」快調 - レスポンス

これまでに2回にわたり、2020年現在ヨーロッパで販売されている日本未上陸ブランドを紹介してきた。今回は、ロシア、インドそしてイタリアのブランドを紹介しよう。

ラーダ

「ラーダ」は、ロシアの乗用車製造大手アフトワズ社のブランドである。日本でも、これまでに同社製のスパルタン4WD、ラーダ『ニーワ』(ニーヴァ)が数社によって並行輸入されてきた。アフトワズは2012年にルノー-日産アライアンス(現ルノー・日産・三菱アライアンス)によって経営権が取得されて現在に至っている。

近年欧州連合域においては、ドイツおよびバルト三国を中心に販売が展開されてきた。2020年現在のラインナップは、前述のニーワ5車型とCセグメントの『ヴェスタ』(セダン/ワゴン/ワゴンクロス)である。

ただし2019年4月、アフトワズは、ラーダ・ブランドの欧州撤退を発表。年々強化される排出ガス規制への対応が困難であることが原因と説明している。撤退は一時的であるとし、新ラインナップでの復帰を示唆しているが、詳細な時期は明らかにされてない。2019年の欧州販売台数は、4103台であった。

マヒンドラ&マヒンドラ

インドのコングロマリット企業「マヒンドラ」による欧州自動車産業の関わりは、2015年にイタリア・トリノのデザイン会社「ピニンファリーナ」を買収したことでも知られる。

マヒンドラ・ゴア・ピックアップ加えて傘下の自動車製造会社「マヒンドラ&マヒンドラ」は2010年、韓国の「サンヨン」を中国の「上汽集団」から取得。2018年からはピニンファリーナの高性能EV製造会社に出資している。いっぽうで同年には米国で、オフロードカー『ロクサー』のデザインをめぐって、往年のウィリス『ジープCJ』型に酷似しているとしてフィアット・クライスラー・オートモビルズから意匠権に関する訴訟を起こされている。

ヨーロッパでマヒンドラ&マヒンドラ車は、100%出資の現地法人として2005年にイタリアに設立された「マヒンドラ・ヨーロッパ」によって販売されている。現在ヨーロッパにおける販売拠点数は、10の国と地域・約100拠点である。

マヒンドラKUV100NXT当初投入されたオフロードカー『ゴア・ピックアップ』に加え、2020年現在はイタリアで1万1900ユーロ(約140万円)から買えるクロスオーバー『XUV100 NXT』、7座SUV『XUV500』の3モデル体制で市場に臨んでいる。

2019年の欧州販売台数は1076台だった。毎年開催で2019年に第3回を迎えたファンイベント「マヒンドラ・エクスピエリエンス」を通じた新規ファン開拓も活発だ。

DR

「DRオートモービルズ(旧drモーターカンパニー)は、イタリアで複数ブランドを扱う自動車販売会社を経営していた企業家マッシモ・ディ・リージオによって2006年に設立された新興自動車ブランドである。DRとは彼の姓Di Risioの頭文字による。本社はイタリア南部プーリア州にある人口1100人余りの町マッキア・ディゼルニアに置いている。

製品のすべては、中国メーカーのコンポーネンツをイタリアに輸入し、イタリアでアッセンブリーを行うノックダウン生産であるため、型式認定上はイタリア車となる。

初期の製品であった『DR1』は、奇瑞の『瑞麒M1』をベースにしたものであった。2020年2月現在、ラインナップにある4車種はいずれもSUVで、『DR3』、『DR4』、『DRエヴォ』、『DR6』がある。ベースは江淮汽車(JAC)の車両をベースとしてDR4を除き、現在もすべて奇瑞製モデルを基本としている。

イタリア国内には150のサービス拠点がある。2019年の欧州販売台数は3863台で、2018年の1476台からすると、その伸びは2.6倍以上となった。無意味な比較との批判を承知で記せば、その数は同様に欧州圏内のフェラーリの販売台数3842台よりも多いことになる。また、イタリア国内の2019年登録台数は前年比2.52倍の3793台で、伸び率ではテスラに次ぐ2位となった。

DR DR3著者自身はボローニャやジュネーヴのモーターショーで、dr創業時代のディ・リージオCEOに面会したことがある。当時の筆者の印象を率直に記せば、“チャイニーズ・イタリアン”とでもいうべき彼の試みは意欲的であったが、当時の欧州ユーザーの間で、たとえ「イタリア車」といえ、ベースとなっている中国車への印象は大半がネガティヴなものであった。そもそも、もはや新規参入の余地がほとんどない自動車産業において、存続はかなり困難であると予想していた。

生産規模拡張の試みも難航した。2007年には旧カロッツェリア・ベルトーネの取得を試み、2012年には旧フィアットのシチリア工場買収を模索したが、前者は交渉がまとまらず、後者は資金不足から失敗している。

しかしその傍らで、LPG/ガソリン、メタン/ガソリンの併用燃料車の充実を、地道にセリングポイントにしてきた。これは本拠地であるイタリアが、欧州でも屈指のガス燃料スタンド普及国であり、手厚い購入補助金制度が実施されていることと合致していた。

加えて、多くのモデルにクルーズコントロール、リアビューカメラ、インフォテインメントなどを標準装備としながら、ベース価格を2万ユーロ以下に抑えるといるのも奏功したと考えられる。最も安いDRエヴォは、ローン条件によるが1万4900ユーロ(約178万円)から設定されている。

ショールームも、たとえば看板は蛍光灯内蔵のものではなくビニール製垂れ幕、店内装飾も安価なプラスチック製パネルを多用している。コストを抑えることで、販売店への参入を容易にしている。

スマートフォンやファストファッションで起きた流れを受けて、自動車ユーザーの意識が変化し、“原産国”に対する意識がここ約10年で希薄になっていることも追い風となっているといえる。成熟市場においても、時代と市場を読み、ローカル顧客の照準を絞れば、まだ顧客を開拓できる余地があることを実証した例といえよう。

(2019年欧州販売台数のデータ出典: JATOダイナミクス)

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March 03, 2020 at 10:30AM
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