動物の曲芸に道義的に反対する人が世界各地で増えている
日本では、サルによる食害は毎年およそ10億円にのぼる。そのほとんどが野菜や果実への被害だ。農作物の生産者たちは、被害を防ぐためにフェンスやかかし、爆竹を使ったりしている。自治体による駆除も行われていて、環境省によると、日本全国で年間に2万5000匹ほどのサルが捕獲されているという。
ギャラリー:日本人にとってサルは神聖な存在であり、同時に芸達者なエンターテイナーだった
こうした駆除プログラムの副産物として、親が殺されて子ザルだけが残されることがある。そうしたサルたちを地元の人が保護し、猿まわしの団体などに引き渡すこともあるのだ。
ある日の午後、山口県岩国市の山道を、私は村崎修二と一緒に歩いていた。72歳になる村崎は、野原に置かれた巨大な金属製のケージへと私を案内してくれた。バス4台分ほどの広さがある。それは、農作物を盗みに来るサルたちを捕まえるためのわなだった。
村崎によると、その集落では前の週に10匹ほどのサルが捕獲されたという。捕まったサルがどうなったかは知らないと村崎は言うが、おそらくは射殺されたのだろう。2匹の子ザルが保護され、村崎の息子の耕平の下で芸をするように訓練されることになるという。
村崎は、1960年代に一度は途絶えた猿まわしの復活に尽力した。サルの芸には、東洋的な考え方が反映されていると彼は説明する。「サルは観客と神をつなぐ存在です。猿まわしは単なる見せ物ではなく、儀式なんです」。村崎によれば、伝統的な猿まわしでは芸の一つ一つに意味があるという。調教師がサルの手を取って回転させれば、その場が清められるし、二つの輪をくぐらせれば、観客に健康と長寿がもたらされる。さらに、サルを竹馬で歩かせるのは、子どもたちの健やかな成長と幸せを願ってのことだ。
日光さる軍団で20年にわたって調教してきた笈川剛の話では、調教師たちは伝統的に、人間がサルよりも地位が上であることを教えるために、高圧的な態度や行動をとっていたという。だが、笈川自身は、遊びを通した陽性強化と言葉によるしつけを使い分けているそうだ。笈川たちはサルを自分の子どものように扱い、良くできれば褒めるが、うまくできなかったときは叱るという。
一方、野生の動物を捕まえて芸をさせたり見世物にしたりする観光施設に対して、道義的に反対する人が世界各地で増えている。「世界中の人たちが動物の曲芸に憤慨しています。そのため、動物を呼び物にしたサーカスの多くが閉鎖に追い込まれ、法律で禁止する国も出ています」と言うのは、動物の権利を擁護する国際的なキャンペーンを展開する「動物の倫理的扱いを求める人々の会」(PETA)のジェイソン・ベーカーだ。
「悲しいことですが、動物を守るために政府が頼りにならないことは歴史が教えてくれています。動物福祉に関する法律が十分とは言えない日本のような国ではなおさらです。生活環境や調教方法、母子の分離、芸ができなくなった動物たちの処遇といったことを監督する仕組みがないのです」
こうした批判に対して、笈川は日本の猿まわしの文化を理解していないと言う。自分たちはサルを愛していて、虐待的な調教法など使っていないと、彼は話した。
※ナショナル ジオグラフィック日本版5月号「日本人とニホンザル」では外国人ジャーナリストが日本の伝統芸「猿まわし」をどう見たのかレポートします。
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May 03, 2020 at 05:32AM
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