日本では年間に約29億点のアパレル製品が供給されるが、消費されるのは約14億点。その差、約15億点が売れずに残ってしまうのだという。廃棄される運命のアパレル製品を、ブランド価値を損なわずに再販する仕組みが、FINE(名古屋市)の「Rename(リネーム)」だ。
売れずに残ってしまったアパレル製品は大幅な値引きをしたり、販路を拡大して適切ではないルートに製品が流れたりすると、ブランドイメージを損なう懸念がある。だからアパレルメーカーやブランドは再流通に消極的で、残ってしまった服は新品のまま廃棄されてしまうことも少なくない。
廃棄アパレル製品の多くは焼却処分される。その際に発生する二酸化炭素は地球温暖化など環境悪化の原因として、世界中で削減への取り組みが行われている。もともと「流行」という意味の「ファッション」業界が、社会とは逆を向いているのは皮肉なことだ。
【特集】SDGs 廃棄物から価値を生む
ブランドタグも洗濯表示も付け替え
「Rename(リネーム)」は売れ残った在庫を買い取り、アパレル加工工場でブランドネームやブランドタグを付け替える。いろいろなブランドの服が、新たにリネームのタグ付きで販売される。新品でも正規の3割から8割引きだ。これによって、もともとのブランドの価値を損なうことなく廃棄を抑えることができる。また、メーカーは廃棄するのに必要な費用もかからなくなる。消費者にとっても、品質の高い製品を安く買えるメリットは大きい。
同社はCDやDVDの買い取り販売から事業を開始し、家具・家電などさまざまな商材を取り扱ってきた。その中でもファッション関連製品の取り扱いが増え、2015~16年ごろから、アパレルやシューズ、バッグ、雑貨などファッション分野に絞ってリセール事業を展開している。当初はメーカーから在庫を買い取り、ブランドはそのままでネット販売や卸売りをしていた。
「16年に、『ブランド名を出したくないが再販はしたい』というお客さんから相談があった。ブランドタグを切り取って販売する方法もあるが、洗濯表示のタグにも社名が記載されており、そこも切り取ると“ワケあり製品”のような怪しげなものに見えて価値が落ちるし、お客さんが不便だ。そこで洗濯表示も含めてタグを付け替える方法を考えた」と、ファイン取締役COOの津田一志氏は説明する。これがリネームのスタートだ。
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